住宅資金贈与の落とし穴
いよいよ消費税が10%になりますね。
消費税増税後の住宅購入支援策のひとつに、「住宅資金贈与」という制度があります。
これは、親などからもらったお金を住宅資金に充てる場合、贈与税を払わなくてもいいという特例です。
親からお金をもらうという行為をすると贈与とみなされ、そこにかかる税金が贈与税と言いますが、もらうお金の使い道が「家を買うため」であれば、一定金額を限度に贈与税がかからないということです。
では、その一定金額の限度がいくらか?というと、以下をご確認下さい。
消費税10%以降の住宅資金贈与の非課税枠
省エネ住宅 | 省エネ住宅以外の住宅 | |
H30.4.1~H32.3.31 | 3000万円 | 2500万円 |
H32.4.1~H33.3.31 | 1500万円 | 1000万円 |
H33.4.1~H33.12.31 | 1200万円 | 700万円 |
このようになります。
上記図の金額以内におさまる親からの贈与であれば、贈与税を支払うことから免れることができるということです。
ここで注意したいのは、親からの住宅資金贈与を受ける(お金をもらう)タイミングによっては住宅資金贈与とみなされない、つまり税金が発生するケースがあるということです。
特に、今からの時期に贈与を受ける人にとっては要注意です。
国税庁のホームページで確認をすると、住宅資金贈与を受ける側の要件に、
「贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが見込まれること」
という記載があります。
かみ砕いて表現をすると、親からお金をもらった年の翌年3月15日までに家を建てて住んでいることが条件ということです。
具体例で検証してみましょう。
例えば、今年中に親からお金をもらう人はどこに注意する必要があるのでしょうか?
【Aさんの場合】
Aさんは注文住宅を建てる計画を立てています。親から2000万円の住宅資金贈与を受ける予定です。
注文住宅を建てるために以前から土地を探していたのですが、この度ようやくAさんの希望を満たす土地が見つかりました。
その土地の値段は2000万円です。Aさんはこの土地を購入することを決断しました。2019年10月の決断です。
Aさんはこの土地を購入するにあたり「住宅資金贈与」を活用しようと思い、親から2000万円の贈与を受けようとします。
土地の決済(引き渡し)は11月の下旬。この決済の日に土地の売主さんに支払う必要がある2000万円を、Aさんは事前に親にお願いし、Aさん名義の銀行口座に準備してもらいました。
ここからが問題です。
住宅資金贈与のお金を受け取った側であるAさんは、翌年、2020年の3月15日までに注文住宅を完成させ住んでいなければならないのです。
11月の下旬に土地の引き渡しを受けるということは、そこから注文住宅の工事が開始されます。そこから、3月15日までに工事が終わり、建築会社に全額支払いをして引き渡しを受け、引越しまで完了させなければいけません。
相当タイトなスケジュールです。
というか、工事期間が半年かかる建築会社だったとしたらその時点でもうアウトです。受け取ったお金は住宅資金贈与とみなされず、しっかりと贈与税を取られます。
私の知り得る限り、11月下旬から工事を開始し、3月15日までに家を完成させることができる建築会社はごく僅かです。
つまり、今年中、年内に土地を買うために親からの資金贈与を予定している方たちにとっては、住宅資金贈与の特例が適用できる建築スケジュールが成り立つかどうかの確認が重要になってくるということです。
ここでもうひとつ。
国税庁のホームページには、
「 ~~又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが見込まれること」
と記載があります。
3月15日までに住み始める、又は近々で住み始める予定の人、ととらえることができます。
つまり、少しはおまけしてあげますよと書いてあるのです。
これはどう解釈してよいのかというと、
「3月15日時点で、建築中の家に屋根がかかっていること」
だそうです。
3月15日の時点で、工事途中とはいえ屋根までの工事が終わっていれば、もうそれは家の完成が間近であり、近々のうちに家が完成して住み始めることは間違いない、つまり、家を買うために親からお金をもらったということを認めてもらえるということです。
いずれにしても、住宅資金贈与は活用できれば優位に住宅計画を進めることができますが、ルールの要点をしっかりと抑えて活用しないと後から後悔することになりかねません。
住宅資金贈与をあてにしている方は是非一度ご相談ください。計画、スケジュールに問題がないかチェックいたします。
おうちの買い方相談室名古屋 代表 岩本貴久