どうなる!?消費税増税後の住宅購入!?
まもなく消費税が上がります。現行の8%から10%に引き上げ。
この消費税増税により住宅購入価格にかかる消費税も2%の負担増となります。
なにしろ住宅の購入は金額が大きいだけに2%の負担増は結構なものです。
家の値段が3000万円だったとすると、
60万円(3000万円×2%)の負担増です。
ここだけ聞いてしまうと、60万円もの消費税を余分に支払うのはかなり気が重いですね。
しかし、この増税による負担増を補える支援策がおおまかに4つあります。
それが何かというと、次の4つです。
①住宅ローン減税の控除期間が3年延長
②すまい給付金の対象者が拡充かつ金額増
③住宅ポイント制度
④贈与税非課税枠が最大3000万円に拡大
今日はそのひとつである
「住宅ローン減税の控除期間が3年延長」
について紹介したいと思います。
結論からお伝えすると、
この住宅ローン控除というしくみをフル活用することができれば、今回の消費税2%の増税負担分をなんと全額補てんすることが可能です。
まずは現行の住宅ローン減税の主なルールから確認してみましょう。
現行の住宅ローン減税の主なルール
- ローン残高の1%を所得税から控除
- 所得税で控除し切れなかった分がある場合は住民税からも控除(限度額136,500円)
- 住宅ローン控除の対象となるローン限度額は4000万円(5000万円)
- 住宅ローン控除の恩恵は10年間受けられる
こうなります。
例をあげて説明します。
ケーススタディ
住宅ローン借入額3000万円・金利1%・35年返済
【図1】
経過年数 | 年末のローン残高 | 住宅ローン減税額 |
1 | 29,280,000 | 292,000 |
2 | 28,550,000 | 285,000 |
3 | 27,890,000 | 278,000 |
4 | 27,000,000 | 270,000 |
5 | 26,320,000 | 263,000 |
6 | 25,570,000 | 255,000 |
7 | 24,800,000 | 248,000 |
8 | 24,030,000 | 240,000 |
9 | 23,250,000 | 232,000 |
10 | 22,470,000 | 224,000 |
上の図は、当初10年間の住宅ローン返済年表です。
住宅ローン減税のルールは、年末に残っているローン残高の1%を控除できる、というルールです。
例えば、1年経過後の住宅ローン残高は29,280,000です。
この1%にあたる292,000円(100円以下は切り捨て)が住宅ローン減税という制度を通じて、所得税から控除されます。
2年目、3年も同様に、年末に残っているローン残高の1%分の金額を所得税控除できます。
10年間で2,587,000円もの所得税を返してもらうことができます(図1の右の列”住宅ローン減税額を1年目~10年目まで足してみてください)。
大きいですね。
このルールが、消費税が10%に引き上げられた以降、変わります。
どのように変わるのかというと…
主なルール変更
- 控除期間が3年延長になり13年に
- 延長された11年目~13年目の減税の計算は2パターンある
パターン①住宅購入価格の2%を3年間合計して減税
パターン②年末の住宅ローン残高の1%の減税を3年延長
パターン①とパターン②の金額のどちらか小さい金額の方を採用
という内容です。
パターン①を見ていただくと、
これはつまり、消費税が8%から10%に引き上げられることによって生じた2%ぶんの負担額を、3年間で取り戻せますよと解釈することができます。
仮に住宅購入価格が3000万円だった場合、
3000万円×2%=60万円
60万円÷3年=20万円
11年目から13年目にかけて毎年20万円の控除を受けることができ、結果的に合計60万円の控除が受けられるという仕組みです。
【図2】
経過年数 | 年末のローン残高 | 住宅ローン減税額 |
1 | 29,280,000 | 292,000 |
2 | 28,550,000 | 285,000 |
3 | 27,890,000 | 278,000 |
4 | 27,000,000 | 270,000 |
5 | 26,320,000 | 263,000 |
6 | 25,570,000 | 255,000 |
7 | 24,800,000 | 248,000 |
8 | 24,030,000 | 240,000 |
9 | 23,250,000 | 232,000 |
10 | 22,470,000 | 224,000 |
11 | 21,670,000 | 200,000 |
12 | 20,870,000 | 200,000 |
13 | 20,060,000 | 200,000 |
ただし、ここで注意が必要なのが、先ほどのパターン②の確認です。
パターン②は、つまりは現行の住宅ローン減税ルールです。
年末のローン残高の1%で計算します。
今回の例でいくと、11年目から13年目にかけて住宅ローン残高がまだ2000万円以上残っています。
ということはパターン②で計算すると、住宅ローン減税額がパターン①で計算した場合の20万円を超えていますので、
この場合、パターン①で計算した20万円を控除することができ、
無事に3年かけて60万円ぶんの消費税増税分を補てんしたことになります。
このケースでいくと、13年経過したときの住宅ローン残高が2000万円を切らなければ満額の控除を受けられると判断することができます。
以上のように、
消費税率が10%に引き上げられた以降の住宅購入の場合でも、
住宅ローン減税の効果をフル活用することができれば、
消費税増税分にあたる金額を全額補てんすることが可能ということです。
あるいは、この制度活用に加えて他の制度も上手に活用することができれば、
補てんどころかプラスに転じるようなケースを作り出すことも可能です。
※注
住宅ローン減税の適用を受けるには一定の条件を満たす必要があるので注意が必要です。詳細はお問合せ下さい。
おうちの買い方相談室
代表 岩本貴久