住宅ローンの借入額は年収の何倍までか!?
いざ住宅ローンの借入額を決めるとなると「いったいいくらまでの住宅ローンだったら大丈夫だろうか?」
という不安はありませんか?
よく耳にするのが
「年収の5倍までだったら安全圏内」や、
「年収の7倍までだったら大丈夫」などという、
自身の年収の何倍までだったら…という基準で表現される判断基準がありますが、果たしてこのような判断は正しいのでしょうか?
今回はこの
「住宅ローンは年収の〇倍までだったら大丈夫」
という判断基準が正しいかどうかを、具体的なケーススタディで検討してみましょう。
以下ご参考ください。
【例】住宅ローンは年収の7倍までだったら大丈夫!の検証
①Aさんの場合(24才男性サラリーマン・年収350万円)
年収の7倍ですから
350万円×7=2450万円
この場合、Aさんの借入額は2450万円までだったら大丈夫!と判断することになります。
ということは、逆に言えば、2450万円を超える借入額はAさんにとっては大丈夫でない金額の可能性がある、と解釈することもできます。果たして本当にそうでしょうか?
Aさんはまだ24才です。四大生卒だったとしたらまだ社会人2年目もしくは3年目です。まだ社会に出て働き始めたばかり。
この時の年収で350万円というのは立派だと思いますが、この社会に出てまだまもないタイミングのときの年収を基準に住宅ローンの借入額を決めてしまうというのは、あまりにも的外れのように思います。
例えば10年後、Aさんは34才になっています。係長?か課長?クラスになっているかもです。年収は?いまのまま350万円のままでしょうか?
Aさんが24才の年収350万円を基準に“年収7倍まで”という判断を真に受けてしまい、
2450万円が限度と認識して計画を進めてしまうのは結果的にAさん家族のせっかくの住宅計画に制限をかけてしまい、
とてももったいない気がしてなりません。
②Bさんの場合(55才男性・年収800万円)
年収の7倍ということは
850万円×7=5950万円
Bさんの妥当な住宅ローン借入額は5950万円という計算になります。
どうですか?本当に妥当な金額だと思いますか?
Bさんは55才です。退職まであと何年ありますか?
最近は65才で退職という風潮ですから、65才まではお給料があるとします。
ということは、Bさんがお給料を受け取れる期間はこれからあと10年です。
その10年間のお給料で5950万円もの住宅ローンを返済するというのは、素人目に見ても厳しいと判断する人のほうが多いはずです。
住宅ローンの仕組み上、80才になるまでの期間を返済期間として設定することができますが、健全かどうかは別の話です。
国から受け取る年金で多額の住宅ローンを支払っていくというのはどう考えてもピンときませんよね。
この場合、Bさんにとって年収の7倍というのは全くあてにならない数字と判断することができます。
③Cさん・Dさんの場合
(CさんDさんともに32才男性、年収500万円/Cさんは子ども3人、Dさんは子ども1人)
家族構成によっても当然違ってきます。
全く年収が同じ500万円のCさんとDさんを比べた時に
「年収の7倍の3500万円」が妥当な借入額という判断を、CさんもDさんもするのはあきらかにおかしいですよね。
仮に子ども一人当たりの教育資金を1000万円とします(もっとかかりますね)。
Cさんが準備すべき教育資金は、子どもが三人なので3000万円(1000万円×3人)、
Dさんが準備すべき教育資金は、子どもが一人なので1000万円(1000万円×1人)、
となります。
もちろん、子どもたちの年齢にもよります。
それぞれの教育環境によっても差が生じるでしょう。
本来は一概には言えないはずですが、教育資金が3倍違います。
CさんDさんが同じ年齢、同じ年収という前提で比較しても、住宅ローンの借入額は違って然るべき。
何故なら準備すべき子どもの教育資金が3倍も違うからです。
いかがでしょうか?
「住宅ローンの借入額は年収の〇倍まで」
という判断基準がいかにいい加減であるということがご理解いただけたでしょうか?
もちろん年収に応じて返済能力が決まるというのは事実です。
ただ、“それだけではない”ということです。
住宅ローンを借りる方の年齢、ご家族構成、教育資金に対する責任範囲、生活観、などなど、たくさんの要素を足し合わせて初めて、
その方の住宅ローン借入額が導き出されます。
ほとんどの方にとって住宅購入は人生で一度きり。その一大決心の予算を決めるにあたり、
住宅ローンの選択は最重要と言っても過言ではありません。
後悔のない住宅計画を進めるためにも是非、当店にご相談ください。
おうちの買い方相談室名古屋店 代表 岩本貴久